個の力・組織の力を活かす

どうすれば自分の職場で実践できるのか、その実践から積み上げられた知識や経験をどのように後任へ継承できるのか

位置エネルギーは正しく活用したい

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同じ組織・ポジションに固定されると、存在するだけで・何かを発言するだけで仕事がすすむこと、多々あります。いわゆる「位置エネルギーが高い」状態で、自発的に運動しなくても物事が「自分の思い通りに」動きやすくなる。このことを反対側から眺めると、「その人のおかげで物事が進まない」という困った事態に陥っている場合もあります。
異動はそんな不健全な組織状態を打破するためにも有効ですが、我が業界は、親会社との関係や、規模が小さいなどの理由により、理想的な人種異動が出来ない職場が多いです。
この、自分では望んでいないが結果的になってしまった「高位置エネルギー状態」を正しく活用するためにはどうするべきか、新年度を迎える前に、いつも悩み、あれこれ試しています。
ある単純業務をわざと新人と一緒に担当してもらい「教える」という「運動」を加えさせる・担当業務に関する研修講師をお願いすることで「俯瞰する」運動を・他社の同一業務を調べてもらうことで「自分を振り返る」運動…何らかの変化をタイミングよく与えることは、位置エネルギーを正しく活用するためには有効なようです。
仕事と人材育成は両輪ですので、全ての人に「人材育成」のマインドが必要だと思っています。SDというと、専門的なスキルが必要で、限られた人にしか出来ないように感じますが…そんな必要はなく、仕事を通じた人材育成は、その人と誠実に向き合い、どうやって「楽しく仕事をするか」小さな働きを継続して取り組むことからはじめればよいと考えています。
四月から新メンバーでの仕事がスタートしますが、小さい働きかけ、をコツコツ頑張ろうと思います。



仕事とハサミの渡し方は同じ

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年度末の手続事務は、大量の書類との格闘で時間のかかるものばかり。年度末のイレギュラー対応はスピードが求められるため、丸ごと外注は難しく、いくら工夫しても、スタッフには何らか負担がかかります。三月の土日はなかなか休めません。
ある休日出勤の日、普段アルバイトさんが対応して下さっている身分証発行を私が代わりにやっていました。休憩のタイミングでアルバイトさんたちが「発行機を新しくしましたか?」と聞かれました。毎日やっている自分たちよりも「速くて綺麗だ」と。
機械は同じものですが、私がやるときには機械の周りを整理して、書類を置く場所を流れるようにして…いわゆる「カイゼン」をしてから作業をはじめるので、年数回しかやらなくても、スムーズにできるのだと思います。
普段打ち合わせ仕事ばかりしている私が、まさか単純作業を変わることができることに驚かれたわけですが、これは組織運営で自分が心がけていることの一つです。スタッフが担当する業務や作業はいつでもサポートできるように、年数回は主体的に携わって忘れないようにしています。当然、時間単価を考えれば監督職がやることではないかもしれませんが、だからといって、何も出来ない監督職というのも、少々残念な気がします。
私がスタッフの定型業務を代わって、スタッフに普段私がやっている仕事(=チームをまとめる経験)をしてもらう。すると、みながみなの想いを理解しようとする素地ができる。お互いの事情を理解した状態で仕事がまわってくるので、後味の悪い日が減る…定時帰宅しやすいし、休みやすい。これは日常的にお付き合いのある部署間でも意識しています。仕事とハサミの渡し方は同じなのだ、と。
企画のできる職員の育成よりも、企画ができて周りを動かせる職員を育成を育成しなければ、組織は変わりません。事務仕事も企画も得意な職員でありたいと思います。





10年後に活きる

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今日は10年以上前の職場の後輩から、3年振りに連絡があり、呑むことになりました。久々過ぎて、話が続くか不安もありましたが、実際に会うとあれこれ思い出すもので、楽しい時間を過ごすことができました。 
今以上に未熟者でしたので、今振り返れば、後輩に対し、おかしなOJTの数々で迷惑ばかりかけていたと思います。感情に任せた「注意もどき」もたくさんしていたと反省しています。
そんな迷惑をかけた後輩から「自分で決めた選択に後悔しないようにするためには、選択後の未来で一生懸命頑張ればいいだけだから、自分の気持ちに正直になってやりたい方を選べ」と背中を押してもらったから、苦しくても今まで社会人やれました、とお世辞半分で言ってくれました。それは、10年前の自分自身に言い聞かせていた言葉で、当時は偉そうに後輩に話していたようでした。続けて「もがいている先輩の言葉だから、スッと入った」とも話してくれました。
10年経過しても未熟で不安だらけの毎日ですが、「選択後の未来をひたすら一生懸命」という流儀は、昔から変わっていないようで、なんだか「自分らしさ」に気づく、嬉し恥ずかしの夜でした。
人付き合いがそれほど得意でもなく、知り合いが多い訳でもないですが、10年後を明るく照らす人間関係が構築できていた事は、若かりしダメ自分を褒めてあげたくなりました。
苦しんでいる自分、一人で閉じこもるのではなく、信頼できる人にさらけ出してみる…すると10年後にご褒美が待っているようです








朝礼ができない職場

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真面目なことを真面目に言えない雰囲気、ありませんか?「この話、勉強になりそうだから、一緒にいく…」というと「私は関係ないんで…」。「○○のために、変えてみようよ」というと「まぁ、そうですけど…そのままでも、不満はなさそうですよ…」。
わからない事は聞きやすい職場でも、情報を共有できる組織でも、課題を可視化して改善するステージまで高めるとこは、多様なメンバーで構成される職場ほど困難なようです。
我が組織では、担当者の問題意識を定期的に吸い上げ(雑談から拾う)、プロジェクト化して(チームを作って、みなで進行管理)することで、改善ステージまで引き上げるように努めていますが、当然、10人いれば10通りの熱量を感じます。まだまだ、動きに差があります。
そのため、小さい改善でも、スタッフが形にしたタイミングで「労う」「これいいね〜と、ワイワイ騒いでみる」「上司や先生を呼んで、次のステップを前向きに語ってもらう」…など、「やった甲斐があったな」という演出を日々心がけています。この積み重ねが、スタッフ一人ひとりの熱量を高め、「真面目なことを真面目に言える職場」へステップアップすることができると考えています。
朝礼をすることが先か、組織を温めることが先か、正確はないと思いますが、一人ひとりの熱量が低いままでは、効果的な朝礼はできないようです(そしてやめてしまう)。
改善の重要性はみなわかっている。問題は、みながやろうと自主的に動く環境をどう整えるか。時間はかかりますが、コツコツ味方を作って、じわじわ広げることが現実的なようです。我が組織も2年近くかかりました。即効性を求めるのではなく、時間が許す限り、根本にアプローチする仕事を心がけたいと思います。



カレンダーを彩る

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ミスの減らないスタッフに、オーダーの仕方を毎回変えて、何と伝えたらミスが減るのか、試行錯誤しています…根本治癒にはならないのですが、現場は人の劇的変化を待っている余裕がなく、現有戦力で対応するしかありません。
プロスポーツのようにオフシーズンがあって、そこで肉体改造するような仕組みがあればよいのですが、定型業務中心の環境に置かれてしまうと、休みの日に自ら進んで勉強にでも出かけなければ、肉体改造も根本治癒も難しそうです。しかし、多様なスタッフが働く職場において、能力開発を休みの日だけに期待することは現実的ではありません。やはり、定型業務中心の職場であっても、仕事を通じて能力開発することを考えざるを得ません。
私は、一カ月をダラダラ過ごす組織にはしないように、朝礼やミーティングで、一週間ごとの色付けをして、組織の中で共有するように心がけています。
例えば…今週は「書類棚卸の週」、来週は「年度当初を乗り切るための不安を、ラインごとに話し合い課題を顕在化する週」、その次は「回覧資料をちゃんと読む&年休を積極的に取得して、仕事以外の視野を広げる週」など…なんとなく忙しくして、なんとなく終わる一カ月が4色に色づけされることにより、目の前の作業だけに埋没されず、ゆったりですが、肉体改造にもつながります。
「普段どんなことを考えて担当業務に向き合うべきか」そのことを疎かにしてしまうと、休みの日に肉体改造しても、自己満足で終わるようです。
本当は、肉体改造のための時間を業務時間中にでも別に確保した方がよいと思います。それが難しい職場において、仕方がない、と諦めるのではなく、その中でどうするかを考えて行動していきたいと思います。

いろいろな成長があってよい

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研究会、勉強会で繰り広げられる「職員のあるべき姿」等の人材育成に関する話題の中に、それらにアクセスしている職員がまるで正しいようにも感じられてしまう場面があります。
土日や夜間にアクセスできる人は、どの業界であっても多数派ではなく、むしろ、何らか抱えていて、関心あるがアクセスできない人の方がはるかに多いと思います。
我がチームにも、昔は企画でバリバリやっていたけれど、今は子育て優先で時短のスタッフなど、様々なスタッフがいます。前職含めいままで担当してきた組織においては「自主的活動にアクセスしている・いない」と「意欲・能力の高低」は無関係でした。我が業界の組織は、この「いろんな状況の人が集まって、組織が構成されている」ことを前提にしたマネジメントができる人を育てていない事が多いようです。プロスポーツのように、それだけに全力投球できる人を集めている組織ならば別ですが…。ちなみを我が組織は、時短スタッフを優先して、日中近郊出張に同行してもらい、外の風を感じることができるような工夫しています。また、朝礼などで政策動向の話題を提供することもしています。
子育ての基本は「自分と子供は違う」とのことですが、これは人材育成にも言えて、自分の成功体験を前提にした働きかけは、残念な結果になることが多いようです。
当然、他人に迷惑をかける意欲ゼロのスタッフには教育的指導が必要です。職員の成長は、いろいろな形があるはず。一方的な「あるべき論」に惑わされないよう注意しながら、一人ひとりにあった成長プランを一緒に考えられる監督職になりたいと思っています。
我が社には、子育て世代がボリュームゾーンになりつつあり、仕事との向き合い方を強制的に変えていく必要があるスタッフが増えています。子育てが落ち着いてから、頑張るのでもよい…ポジションに早い遅いはない…そんなメッセージが当たり前になる職場を作りたいと思っています。これは、我が社だけではない日本全体の課題でもありますが…。



手を抜かないと決めた大失敗

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大学では4年間学習塾のアルバイトをしていました(今は○ラックバイトの代名詞ですが…)。チェーン店新規オープンのタイミングで雇用されたため、実力がある訳でもなく、いきなり受験学年を担当しました。
本来ならば学力別に3クラス分けるべきシステムながら、最上位該当生が1人のため、中位クラスに入ってもらい、別途補講する方法で授業を担当しました。
彼の第一志望は早稲田の付属で、結果は全滅…別の大学付属へ進学しました。
講師1年目の私なりに、あれこれ工夫をして、指導法を勉強して…でも全滅。第一志望の合格発表を一人見に行き、不合格という現実を突きつけられ、その帰り道に本人と偶然出会いました。彼は笑って「先生に教えてもらってよかったです」と、言ってくれましたが…約20年前の2月の出来事です。
私に習わなければ、塾の都合で合同クラスにしなければ…制度のせいにした時期もあり、自分の実力不足を反省し続け、自信をなくした時期もあり…。
彼は私に出会わなければ、異なる人生だったのかもしれない…すべて「たら・れば」の世界ですが、仕事の厳しさを知りました。
そんなことがあり、どんな些細な仕事でも手を抜かないようになりました。窓口の些細な対応でも、定型の手続でも、そのやりとりがきっかけで、人生が変わってしまいかもしれない。もっといい説明の仕方、様式があるかもしれない。
ちなみに、最近採用された非常勤講師の先生の一人に、私が塾で数学を教えた元生徒さんがいました。向こうから声をかけられて「先生ですよね」と。よく聞くと、確率の授業がターニングポイントだったようで、博士後期まで情報科学を学んでいるとのこと。1年目の失敗で学んだことは、無駄でなかったようです。
個人の努力をうれしい成果につなげることも、台無しにしてしまうのも、周りの関与・心がけが少なからず影響するようです。
スタッフに、後輩に「努力」を期待するのなら、自分自信の努力不足が悪影響を及ぼすことがないよう、些細なことも手を抜かないようにしたいと思います。