個の力・組織の力を活かす

どうすれば自分の職場で実践できるのか、その実践から積み上げられた知識や経験をどのように後任へ継承できるのか

外から何を持ってきても枯らしてしまう職場

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服務規律の遵守からはじまる、皆にとって働きがいのある職場…ある上司に教えていただいたことです。
昼休みを数分遅刻して戻ることを繰り返すスタッフがいたとします。周りも上司も何も言いません。そこに生まれる職場の感情は「不公平感」なのだそうです。それを繰り返すと、情報共有もおろそかになり、やがて不正が起こりやすい不健康職場になる。カタチになる仕事ばかりして上司に褒めらるも、皆で分担してやるはずの鍵閉めをやらないスタッフが1人…と言えば、よりイメージしやすいでしょうか。
対して、服務規律を当たり前のように皆が守り、緩んだ状態を目の当たりにしたら、上司も周りも指摘できる職場の場合。そこには公正で公平感のある職場があり、社会人として当たり前のホウレンソウができる。その延長に、(特に公に近い職業の場合)働きがいのある職場があるのだ、と。
モチベーションの向上…1人が気持ちよく好きなように仕事をやり散らかした結果、周りのスタッフは働きがいを無くしてしまう可能性があります。無論、それ以前に問題のあるスタッフもいますから、全てに当てはまるとは言えませんが、スタッフのモチベーション向上には、当たり前を当たり前のようにできる職場環境を整えることが重要だと、その上司は教えてくれました。
その職場環境をどのように築くか、例えば、「朝礼文化のないサービス部門に、どうやって朝礼を根付かせるか」…組織運営の能力がとても重要だと思うのですが、我が業界の現在の職員育成では、まだまだ軽んじられているような気がします。
土壌を改良しなければ、外から何を持ってきても枯れてしまいます。土壌改良に能力を発揮できる職員でありたいと思います。


残念な微調整

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前任者が企画までして異動となり、その企画を実働から担当することになったスタッフが、3か月やってみて「コレとアレを変更したい」と修正案を持ってきました。
自分が企画した訳でもない代物を自分のモノに落とし込もうとする姿勢は褒めたのですが、その中身が少し残念でした。
学生のためになっている修正かと思いきや、事務都合も数ヶ所あり、検討の背景となっている数値の読み方も、突っ込んでみると怪しい…それを全部やったら、誰の為にもならんね…そんな感想を抱く提案でした。
課題を整理し、その一つ一つに解決策を考えての提案だということはよく分かりました。けれど、企画全体の姿を理解しようとしなかったため、あちこち足し算引き算してみたら、訳のわからない姿になってしまったのです。
アドバイスの最後に「合格点の目指し方がすこしだけズレているのだ」という話をしました。マイナスを細かく探して都度補う方法ではなく、全体としての姿を都度確認すること。その結果、部分としてマイナスかもしれないが、全体としては最適であるカタチをまず作り出すこと。そこから、個々のマイナスについて、できるだけカタチを変えないようにケアする方法を考える。そうすれば、迷わないし、他者からのつまならい批判にも耐えられるのだ、と。
話し合いの少ない職場では、全体像をイメージし、自らカタチにする能力が高まらないそうです。日常の課題を話し合う環境を整えることで、職場全員で地に足の着いた企画&遂行能力を身につけたいと思います。

職員としてのこだわりがあまりない

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私のこだわりは「一体感(もしくは、巻き込み)」です。反対意見を封じ込めるやり方ではなく、構成員の納得感と効率のバランスを踏まえながら、できる限り同じベクトルにそれぞれが主体的に向く工夫や努力は惜しまないようにしています。
ある日、会議で意見が活発に出るように、座席の配置を工夫したり、次第や資料を昨年度から変えてみたりしていました。
それをなんとなく手伝い、わざと「しゃんしゃん会議にしない」やり方を不思議に眺めていたスタッフに、「これが、自分の職員としてのこだわりなんだよね」と声をかけたら、さらに??キョトン??となりました。その後、ちゃんと説明しましたが、腑に落ちている様子もなく、こだわりトークで盛り上がることもありませんでした。
なぜ職員になったのか…この程度は採用面接用に用意したことはあると思いますが、それを日常業務に落としこむ経験がないスタッフが多いように感じます。
周りの・過去のやり方を調べ、効率よく担当業務をこなす…ここまでは、だいたいの上司や先輩は教えます。これ以上に大切な事を伝えるためには、相当濃密で、そして、時間をかけた付き合い方が必要です。私の場合、酒を媒介にしたご指導のおかげで、比較的短期間に注入していただけましたが、呑みにケーションが難しい環境ではそれも叶わず…。
いきなり説教じみた話をしても効果はないので、掲示の張り替え、資料綴込みなど、単純作業に加わって、雑談の中で「各人のこだわり」を顕在化し、引き出すように心がけています。「なんで、このサイズの掲示にしたの?」からはじまる、こだわり醸成OJT
こだわりが間違った方向に作用してしまうのも考えものですが、なんとなく職員になってしまったスタッフに闘魂を注入する地道な仕事を疎かにしないように頑張りたいと思います。



仲良しだけでは仕事にならない

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風通しの良い職場を目指した悪い結果として、指導しない上司とサークル感覚の部下だけの困った組織になってしまうケースをたまに見かけます。
職場の潤滑油には雑談も冗談も必要です。ただ、それに夢中で電話対応が遅れたり、雑務を引き取ってくれた同僚への感謝を怠ってしまう職場になってしまうと、事務ミスは増え、次第に自己改善できない組織になってしまいます。この「風通しの良さ」と「緊張感」のバランスは非常に難しく、同じ組織でも日々変化するものです。
窓口、電話、挨拶が「適当に流し」つつあった空気をピリッとしたく、久々に朝礼で緊張感ある話をしました。その日の午前中は、ほぼ雑談ゼロの不穏な空気でしたが、夕方にはオンオフの切り替えを意識した賑やかな職場に戻っていました。
朝礼でわざわざやるか悩みましたし、午前中の空気は正直不安でした。仕事に対するマインドもバラバラなため、やる気を失うかもしれない。嫌われるかもしれない…
「信頼関係は、妥協のコミュニケーションからは生まれない」…先輩に教えて頂いたことです。ただの仲良しを目指すのか、信頼関係を目指すのか…後者を志向する私は、人からお金を頂いて働く者としての最低ラインに妥協せず、今の立場として求められる役割から逃げないよいにしたいと思います。
とはいえ「嫌われたくないからって、ズルいな〜」と感じてしまう幼い自分もいまだ健在ですが~_~;

返事のタイミング

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仕事の時間のうち、メールの返信にどれだけの時間を割いているのか…10年前に比べ、立場の変化も影響していますが、確実にメールソフトと向き合っている時間は増加しています。そのため、直接会って話すことの効果が絶大な場面も増えているように感じます。
私は、出勤後一通り流し読みして分類し、急ぎ以外は、集中力が落ちた時に読む…などの方法で、なるべくメールソフトから距離を置くようにしていますが、返信のタイミングは意識しています。
「その日に返事の難しい内容のメールをどうするか」…これはタイプが分かれるようです。私は「受信した事は開封した日にかえし、時間あけて返事することを伝える派」です。だからといって、返事の遅い相手を否定するつもりもありません。いろいろなタイプがいるので、それぞれでよいと思っています。
ただ、組織のリーダーのような、忙しいくて、判断すべき事が多くて、困った時に助けてくれて…のような方には、早いレスポンスが相手の為に良いだけでなく、結果、自分にもかえってくることを、たくさん経験してきたため、部下や後輩には、早いレスポンスをなるべく勧めています。
「自分はチャンスに恵まれない」と嘆くスタッフには、「返事の遅い人に、他人が頼ろうなんて思うか?情報を共有しようと思うか?」と聞きます。それだけではないと思いますが、返事のタイミングを心がける事で、信頼は増すハズです。
という私も、なんでもメール、との向き合い方に悩み、返事に苦しんでいる職員の一人です。掲示板機能などを有効に活用できる職場にできたらな…と思いつつ、明日もメールソフトの奴隷にならないように注意しながら、向き合おうと思います。



理解には個人差・時間差がある

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話の半分程度で機嫌が悪くなる、数日経過して話を振り出しに戻される…話の内容によって理解には個人差があり、個人の中でも、理解に必要な時間が一定であることはなく、体調含め外的要因で時間差があるものです。
そう考えると電子メールでの依頼は、使い方には注意が必要だと考えますが、中学生の頃から携帯でメールのやり取りをしてきた世代と、彼女の自宅に電話をかけてお父さんが最初に出ないかドキドキしていた世代とは、この手の話題が共有できない場面が増えてきたように感じています。メールで一方的に送りつける前に、先に会って雑談しておけば良かったのに…が、通じない世界。
私の場合、時代の変化だと思って、この手の違和感について、すぐに口にする前に自分の中に一度しまっておく場面が増えてきました。が、時代の変化とは別の次元で大切なことは、時間を割いて伝えるようにしています。
「人は同じ話でも、その情報の入り方(いつ、誰から、どの程度…)で、感情に変化があり、仕事の成果にも影響がある」という事実。これを「相手の性格の良い悪い」の問題だけで片付けてしまっては、組織の力を引き出して仕事をすることは難しいと思っています。策士になることを求めているわけではないですが、メールでのやり取りがメインになりつつある今日の一番大切なojtのテーマだと考えています。これにも、個人差、時間差はありますので、焦らず、諦めず、じっくりと、ですね。


仕事の任され方

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自分がやった方が早いから任されるパターンと、将来性を見込んで「未経験でも」あえて任せてもらえるパターン…任され方で、業務の成果、仕事から得られるものは異なるようです。
監督職となり、仕事を任せる立場になってみると…円滑に仕事を進めるため、スタッフの経験や性格などを踏まえて任せるしか選択肢がない局面がほとんどで、人材育成の視点で任せることの難しさを痛感しています。「適材適所」で盤石の態勢を整えるか、「人材育成」という視点で、「あえて任せる」チャレンジをするか…多様な(世代、能力、環境…)スタッフで構成される現場の場合、業務の遅滞や失敗が与える組織への影響の大きさを考えると、「あえて任せる」ことは簡単ではありません。
そんな現場にいる今の私は、主担当と副担当の組み合わせを戦略的に考えて、出来る限りチャレンジ配置を検討するようにしています。当然、覚悟は必要ですので、スタッフとは個別にじっくり話をします。
この4月を振り返ると、いくつか地味にコケて、休みが休めないことがありました。人材育成を選択したために仕事を増やしてしまった訳ですが、実りある年度末を迎えるためには必要な苦労だと思っています。
コケたスタッフから「◯◯な性格を変えるつもりでやらないと…」と反省コメントが出てきたので、私は「そのままでいい。□□さんらしいやり方を見つけることで、この業務が改善すると考えているから任せている」ような話をしました。すると電話の声が大きくなり、自信を持って業務に取り組むようになりました。改善策の提案もあり、秋が楽しみです。
仕事は任せ方でとても有効な人材育成の手段になる訳ですが…この手段の選択は容易ではありません。「仕事を任せたら最後まで付き合う」ことが先輩・上司の役割な訳ですが、チャレンジ配置をする場合、相当な覚悟が必要です。私の場合、この覚悟ができたのは、家族・友人・同僚の支えがあったからこそです。だからこそ、私も「誰かの覚悟」の支えになれるよう、こちらから声かけをするなど、つながりを大切にしていきたいと思います。