個の力・組織の力を活かす

どうすれば自分の職場で実践できるのか、その実践から積み上げられた知識や経験をどのように後任へ継承できるのか

理解には個人差・時間差がある

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話の半分程度で機嫌が悪くなる、数日経過して話を振り出しに戻される…話の内容によって理解には個人差があり、個人の中でも、理解に必要な時間が一定であることはなく、体調含め外的要因で時間差があるものです。
そう考えると電子メールでの依頼は、使い方には注意が必要だと考えますが、中学生の頃から携帯でメールのやり取りをしてきた世代と、彼女の自宅に電話をかけてお父さんが最初に出ないかドキドキしていた世代とは、この手の話題が共有できない場面が増えてきたように感じています。メールで一方的に送りつける前に、先に会って雑談しておけば良かったのに…が、通じない世界。
私の場合、時代の変化だと思って、この手の違和感について、すぐに口にする前に自分の中に一度しまっておく場面が増えてきました。が、時代の変化とは別の次元で大切なことは、時間を割いて伝えるようにしています。
「人は同じ話でも、その情報の入り方(いつ、誰から、どの程度…)で、感情に変化があり、仕事の成果にも影響がある」という事実。これを「相手の性格の良い悪い」の問題だけで片付けてしまっては、組織の力を引き出して仕事をすることは難しいと思っています。策士になることを求めているわけではないですが、メールでのやり取りがメインになりつつある今日の一番大切なojtのテーマだと考えています。これにも、個人差、時間差はありますので、焦らず、諦めず、じっくりと、ですね。


仕事の任され方

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自分がやった方が早いから任されるパターンと、将来性を見込んで「未経験でも」あえて任せてもらえるパターン…任され方で、業務の成果、仕事から得られるものは異なるようです。
監督職となり、仕事を任せる立場になってみると…円滑に仕事を進めるため、スタッフの経験や性格などを踏まえて任せるしか選択肢がない局面がほとんどで、人材育成の視点で任せることの難しさを痛感しています。「適材適所」で盤石の態勢を整えるか、「人材育成」という視点で、「あえて任せる」チャレンジをするか…多様な(世代、能力、環境…)スタッフで構成される現場の場合、業務の遅滞や失敗が与える組織への影響の大きさを考えると、「あえて任せる」ことは簡単ではありません。
そんな現場にいる今の私は、主担当と副担当の組み合わせを戦略的に考えて、出来る限りチャレンジ配置を検討するようにしています。当然、覚悟は必要ですので、スタッフとは個別にじっくり話をします。
この4月を振り返ると、いくつか地味にコケて、休みが休めないことがありました。人材育成を選択したために仕事を増やしてしまった訳ですが、実りある年度末を迎えるためには必要な苦労だと思っています。
コケたスタッフから「◯◯な性格を変えるつもりでやらないと…」と反省コメントが出てきたので、私は「そのままでいい。□□さんらしいやり方を見つけることで、この業務が改善すると考えているから任せている」ような話をしました。すると電話の声が大きくなり、自信を持って業務に取り組むようになりました。改善策の提案もあり、秋が楽しみです。
仕事は任せ方でとても有効な人材育成の手段になる訳ですが…この手段の選択は容易ではありません。「仕事を任せたら最後まで付き合う」ことが先輩・上司の役割な訳ですが、チャレンジ配置をする場合、相当な覚悟が必要です。私の場合、この覚悟ができたのは、家族・友人・同僚の支えがあったからこそです。だからこそ、私も「誰かの覚悟」の支えになれるよう、こちらから声かけをするなど、つながりを大切にしていきたいと思います。





面倒クサイなりに理由がある

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何故こんな面倒な手続きが必要なのか、それぞれの部署に依頼しなければならないのは無駄だ…組織の規模によりますが、我々の業界は縦割りになりやすく、それだけ面倒な仕組みも生まれやすい環境にあります。
業務改善を志向する際、現在のカタチを否定することからはじめるのと、何故このカタチになったのかを注意深く観察することは、その後の仕上がりに大きく影響するようです。カタチが組織文化を形成する要因の一つですから、上手く進めば良いのですが、組織文化の読みを誤って失敗した場合は…
これまでの経緯は、過去資料の読み込みに加え、過去経験者や大先輩の皆様との雑談から得られる情報で、さらに深く観察することができます。『業務改善』という旗を振り回して〔=理屈だけで攻める〕、先輩方と壁を自分で作ってしまうのではなく、先輩方とのコミュニケーションを大切にして「しょうがねーなー」と笑いながら助けてもらえる環境を整えられる能力が重要だと思います。
そのため、いくら社外研修をたくさん経験したとしても、「同世代の集まりでしか楽しめない」ようなスタッフにならないように、育成では心がけています。若手には「若手カテゴリーに分類されるなよ」と冗談で話しています。仕事は幅広い年齢層で進めるものなので、幅広い年齢層と楽しめる社会人であるよう心がけたいと思います。






ひとりの時間と組織での時間はリンクしている

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仕事が充実していれば、オフも楽しい。オフが充実すれば、仕事の時間も前向きに過ごせる…家族と自分の関係が何らか変化していくと、オフの時間さえ自分でコントロールすることが難しくなり「思い通りにならない」という悩みを抱く人は多いようです…私も悩んでいます。時間外のSDなど、行く気すらなくなるほど、自分側のマイナスパワーに引っ張られることは度々あります。これは仕方がない事で、うまく付き合うしかないのだ、と割り切っています。
やりがいのある仕事ばかりやることで「充実が充実をうむ」よい循環ができればいいのですが、仕事は選べませんので現実は難しいです。無論、オフ側のアプローチはもっと難しい。
せめて、職場にいる時間が充実していれば、よい循環のきっかけ程度にはなると考えています。面倒な仕事を避けるのではなく、皆で協力して解決する…課題をスタッフ全員で共有して意見を出し合うなど、チームで仕事をすると満足度は高まるそうです。
担当業務は単調でつまらないけれど、職場で過ごしている時間は充実している…そのためには、課題の共有と、意見を建設的に出し合える環境づくりが重要です。その手法はたくさんありますが、何が正解なのかはやってみなければ分からないので、気長にあれこれ試していくしかありません。仕事が「前向きに」楽しい、と皆が感じる職場風土の醸成は、一人ではできないので仲間を作ることから、はじめると上手くいくようです。
4月からの職場・メンバーと、4月からの職場風土を楽しみながら構築したいと思います。

任せるとは、思い通りにならない事

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仕事も勉強会なども、同じ人が同じ役割を担い続けるメリットとデメリットを考えた時、私の性格ではデメリット(風通しが悪くなるなど)ばかり目立ちそうだと考え、概ね2年で引き継ぐことを意識しています。
とはいえ、この4月も異動なく、同じ役職を4年もやる事になってしまった私にとって、このマイルールを守るためには、自分が携わった企画等をスタッフに任せる方法しか選択肢がありません。
初めて企画した時のイメージと全く事になってしまったり、頻度が減ったり…と、必ずしも自分の思い通りにはならないですが、それを楽しんで眺める事ができる人間に成長できなければ、と考え、遠くから眺めるようにしています。とはいえ、手段と目的が合致していない場合に限り、時間をとって意見交換するようにしています。
あるスタッフに、私が今までやっていた研修講師を任せる事にしました。本人には一年前に予告していたので、前回分を録音して、それを参考にして準備していたそうです。
わが職場では、私含め数名の前でデモをやって免許皆伝するか決めるのですが、一度目はグダグダで聞けるものではありませんでした。
100%私のモノマネでもなく、スタッフのオリジナルでもない…「任せるあるある」の一つである「馴染んでいない」状態でした。
スタッフに振り返りを聞き、私がどのような意図で、「このフレーズを2回口にした」など、手段と目的を対比させて話しました…というのも、人によっては、他人のアドバイスを素直に受ける事が苦手なタイプもいて、このスタッフに合わせた指導法が、「失敗ボロボロからの立ち直り作戦」でした。
結果、私の研修とは全く異なるものになりましたが、目的と手段が合致して、スタッフのイキイキした表情が印象的なものに仕上がりました。未だ、幾つか気になる事はありますが、それは私の人間性に由来するもののようなので、近くのゴミ箱に捨てておきました。
今年度も、任せて育てる、で、ともに成長できる職場にしていきたいと思います。

位置エネルギーは正しく活用したい

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同じ組織・ポジションに固定されると、存在するだけで・何かを発言するだけで仕事がすすむこと、多々あります。いわゆる「位置エネルギーが高い」状態で、自発的に運動しなくても物事が「自分の思い通りに」動きやすくなる。このことを反対側から眺めると、「その人のおかげで物事が進まない」という困った事態に陥っている場合もあります。
異動はそんな不健全な組織状態を打破するためにも有効ですが、我が業界は、親会社との関係や、規模が小さいなどの理由により、理想的な人種異動が出来ない職場が多いです。
この、自分では望んでいないが結果的になってしまった「高位置エネルギー状態」を正しく活用するためにはどうするべきか、新年度を迎える前に、いつも悩み、あれこれ試しています。
ある単純業務をわざと新人と一緒に担当してもらい「教える」という「運動」を加えさせる・担当業務に関する研修講師をお願いすることで「俯瞰する」運動を・他社の同一業務を調べてもらうことで「自分を振り返る」運動…何らかの変化をタイミングよく与えることは、位置エネルギーを正しく活用するためには有効なようです。
仕事と人材育成は両輪ですので、全ての人に「人材育成」のマインドが必要だと思っています。SDというと、専門的なスキルが必要で、限られた人にしか出来ないように感じますが…そんな必要はなく、仕事を通じた人材育成は、その人と誠実に向き合い、どうやって「楽しく仕事をするか」小さな働きを継続して取り組むことからはじめればよいと考えています。
四月から新メンバーでの仕事がスタートしますが、小さい働きかけ、をコツコツ頑張ろうと思います。



仕事とハサミの渡し方は同じ

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年度末の手続事務は、大量の書類との格闘で時間のかかるものばかり。年度末のイレギュラー対応はスピードが求められるため、丸ごと外注は難しく、いくら工夫しても、スタッフには何らか負担がかかります。三月の土日はなかなか休めません。
ある休日出勤の日、普段アルバイトさんが対応して下さっている身分証発行を私が代わりにやっていました。休憩のタイミングでアルバイトさんたちが「発行機を新しくしましたか?」と聞かれました。毎日やっている自分たちよりも「速くて綺麗だ」と。
機械は同じものですが、私がやるときには機械の周りを整理して、書類を置く場所を流れるようにして…いわゆる「カイゼン」をしてから作業をはじめるので、年数回しかやらなくても、スムーズにできるのだと思います。
普段打ち合わせ仕事ばかりしている私が、まさか単純作業を変わることができることに驚かれたわけですが、これは組織運営で自分が心がけていることの一つです。スタッフが担当する業務や作業はいつでもサポートできるように、年数回は主体的に携わって忘れないようにしています。当然、時間単価を考えれば監督職がやることではないかもしれませんが、だからといって、何も出来ない監督職というのも、少々残念な気がします。
私がスタッフの定型業務を代わって、スタッフに普段私がやっている仕事(=チームをまとめる経験)をしてもらう。すると、みながみなの想いを理解しようとする素地ができる。お互いの事情を理解した状態で仕事がまわってくるので、後味の悪い日が減る…定時帰宅しやすいし、休みやすい。これは日常的にお付き合いのある部署間でも意識しています。仕事とハサミの渡し方は同じなのだ、と。
企画のできる職員の育成よりも、企画ができて周りを動かせる職員を育成を育成しなければ、組織は変わりません。事務仕事も企画も得意な職員でありたいと思います。