個の力・組織の力を活かす

どうすれば自分の職場で実践できるのか、その実践から積み上げられた知識や経験をどのように後任へ継承できるのか

担当業務を自分1人で成し遂げられたなら、それは半人前

 「部下を持つ前に、自分の仕事のマネジメントぐらいできるようになれよ(怒)」と、30歳を過ぎたころ、上司に怒鳴られました。そして、「部下をもたない立場で、自分の仕事に関して(いい意味で)周りを巻き込めるようになれ」と、話は続きました。

 担当業務を自分1人で成し遂げたならば半人前。自分の仕事を「できるだけ自分でやらなくても済むように」できたら1人前(=部下を持ってもよい)。それは、他人に丸投げするという意味ではなく、自然に関係者が「自分のこと」だと思って、能動的に協力してもらえる状態を作り上げるということ、だそうです。簡単な例でいうと、掲示物の管理という担当業務について、ライン全員がどこかの部署へ行くついでにチェックして、手があいたときに、自分に声かけてくれて掲示をかわりに作ってもらえる人間関係を構築できないようなら、いい上司にはならない、というメッセージでした。

 この職場なら副担当制度も機能しますし、自然にダブルチェックができてミスも防止できる。さらに、実践知が共有されるので、人事異動の時期も乗り切れます。自分の仕事のマネジメント、とは、自分の仕事の進行管理を適切にする、という意味だけではなく、周りをどのように巻き込めるか、ということのようです。

 部下を持たないのに、自分の仕事を手伝ってもらう・・・そんな人間関係、どうやって構築すればいいんだよ・・・という葛藤、失敗、挫折・・・が、今の自分の武器になっています。「相手の仕事に関心を持つ」「手伝う」「相手の興味のありそうな雑談する」など基本的なことしか私はやってませんが、上司になる前に、いろいろなタイプの隣人に対して「信頼関係を醸成する」トレーニングをしてきたようなものなので、今では少しだけ自信はあります。これらの手法は多分、タイミングがポイントだと思います。タイミングよく相手に関与する・・・ためには、相手の動きをよく観察する。パソコンの画面ばかりみていたらよろしくない訳ですね。という私も、パソコン上司になっているんだろうな、きっと。