個の力・組織の力を活かす

どうすれば自分の職場で実践できるのか、その実践から積み上げられた知識や経験をどのように後任へ継承できるのか

風は、気まぐれ

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平日勤務中開催の研修への参加を勧めてみたり、呑みに誘ったりした際に…「忙しいので、また」と言うスタッフがいます。もしかしたら、「忙しい&また」を繰り返しているから、どんな仕事をしていても「忙しい」のかもしれません。

仕事は、人脈によって円滑に進むことは多く、それは定型業務こそ重要だと考えています。同じ定型業務を、他社では全く違うやり方で扱っていることを知れば、決められたやり方で何も考えずに作業をするスタッフではなくなります。事務ミスが多いスタッフほど、何も考えず定型業務を扱っている傾向があり、自分で忙しくしてしまっています。
とはいえ、どれほど「質」を改善したとしても、圧倒的な「量」が減るわけではありません。量への対策は、仕組みそのものへの対策が必要です。少し離れた上司と3年前から呑んでいて、最近、仕組みそのものの改善を、背後からアシストしてくれた…なんて話があるように、量に対しても、人脈はいつか役に立ちます。
仕事は明日もある。けれど、この縁は、今日しか掴めない。ならば「5分だけ顔出す」だけでも意味はあると考えています。行けなかったとしても、誘ってくれた人に資料や話の内容をわけてもらうだけでも、いつか吹く風を捕まえる命綱はつながります。
風は、気まぐれ。その誘いは、今日が最後かもしれない。それにスタッフが気づけば、「忙しい」が緩和されると思います。
という私自身、知らない方との研修や呑み会、が割と苦手で、一人で過ごしたい時が結構あります。なので、無理して何でも出かけることはしませんし、スタッフにも強要はしません。それで、縁が掴めなかったならば仕方ない、と割り切っています。
大切なことは「忙しいから参加できない」の一歩先に行くこと、だと思います。

 

 

雰囲気が、彼を変える

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定期的に情報交換させて頂いている他社管理職の方との呑み会に、他部署でバリバリ頑張って、我が組織へ異動してきたスタッフを勉強のために連れていきました。

仕事はしっかりこなし、他者への協力も惜しまない、働きぶりに申し分ないスタッフですが、あと何かが欲しい。
グループ学習ができるスペースがほしい、という学生の声を実現すべく、このスタッフをメインにしたチームを作り、他社見学にも連れていき、予算も確保して、あとはデザインして買い物する段階。ですが、出てくる企画が、何か物足りない。
どうやら、大学をどうしたい、という気持ちが、面接や昇任試験論文の想定問答以上に向き合ったことがないようで、これが課題だと感じました。
さて、その宴席。大半が雑談の中に、何事についても、単なる評論でなく自分事として語り合う数分間が、ランダムにやってくる空間に、そのスタッフは、いままで見たことがない表情で、そのやりとりに浸っていました。
帰り道に、「知識量でなく信念なんですね」と語ってくれました。きっと、自分はこうしたい!という気持ちが込められた、デザインが出てくると思います。それに寄り添える、今の環境に感謝です。

見えないフリをさせない

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隣の人が何をやっているのか、よくわからない。隣の人の電話に出ても役に立たない…という職場は、我が業界に多いと思います。事務分担がこれほど個人単位に細分化されていて、人員要求のベースが業務量積算中心の世界に、転職当時は驚きました。今は慣れ親しんでいますが…。
隣の人が何をやっているのか、よくわからない職場は、やがて、自分の担当業務以外の出来事を「見えないフリ」するようになります。掲示の内容を変えるべきでも知らないフリ。椅子が壊れていても見えないフリ…そして、隣が大変そうでも知らないフリ。
ある日、外部からお叱りの電話があり、受話器を取った中堅職員が、自分の担当でなく、別の職員の担当であることがわかった瞬間に、転送し、その後は知らないフリをしました。
後日のミーティングで、なぜこれがよろしくないか、みなで考えてもらいました。クレームは、担当であろうがなかろうが、一人より二人で聞いた方が気持ちは楽です。電話の隣に居てくれるだけで良いのです。周りをみて困っていたら、担当だろうが何だろうがとりあえず隣にいく。見えないフリでなく、見ないフリでなく、意識して見ろ!と。
意識して見るクセをつけるには、1日の時間の使い方を変えてもらうことが有効です。窓口部署であれば、休み時間は、タバコ休憩は当たり前ですが、打ち合わせもセットさせない。管理部門であれば、現場で今何をしているのか意識して電話をする、など。8時間を10分単位で意識すれば、自分以外を見ることができます。
皆が「意識して見る」ことをすれば、事務ミスも残業も減ります。まずは、パソコン以外を見る仕掛け(雑談など)が必要ですね。

 

半年待てる職場づくり

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ある課題の解決に、委員長から具体的な提案があり、担当スタッフはアレコレ考えていました。

考えてくるアイデアは、いつも穴があり、いよいよ手詰まりな雰囲気。私から「そもそも委員長の提案って、課題の解決に有効かな?」と振ってみたのは、3か月経過したタイミングでした。
それから3か月、担当スタッフは課題の本質を考え続け、委員長の提案とは異なる解決策を練り上げることができ、委員会でめでたく承認となりました。
スタッフに聞けば「仕事とは発注された通りに仕上げることだ」と、この案件を仕上げるまでは思っていたそうです。そのこと自体は間違っていないのですが「発注の意図をどのように汲み取り、想像以上に仕上げるか」が職員の腕の見せ所であるかを、この案件に半年向き合うことで、自分から気づいてくれました。作業と仕事の違いが自力でわかってきたのだと思います。
ちなみに、このスタッフは若手ではありません。研修に自ら参加するタイプでもありません。ですが、家族の時間と仕事のバランスを大切にしている素敵な社会人です。仕事のかける時間ではなくやり方を変えれば、きっと時間内にもっと活躍できる人です。現場の生産性(あまり好きな言葉ではないですが)を高めるためには、一人ひとりに合わせた向き合い方が必要です。
スケジュールに余裕がある&都合のよい仕事は、簡単にやってくるわけではありません。しかし、我々仕事を振る側は、出来るだけ先読みし、チーム全体で仕事を平準化して、仕事で能力開発できる環境を職場で実現する必要があります。
今年も「スタッフの成長を半年待てる」職場づくりを実践していきたいと思います。

クセを理解して、うまく付き合う

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私の悪いクセは、集中している時に、いつでも良さそうな決裁がやってきたときの、阿修羅(←同僚談)のような表情をしてしまうこと(._.)…

上司とは「いつでも話しかけやすい雰囲気を醸し出すべし」なわけですが、私の場合、アイデアが湧き出し形にしている時間を中断されると阿修羅になる、という、悪いクセが出てしまう。
私にとっては「どうでもよいタイミング」かもしれないが、彼にとっては「このタイミング」なのかも知れない…むしろ、決裁以外に話を聞いた方がいいかも知れない…そんな振り返りをして、阿修羅対応?した後は、こちらから声かけする、など反省しております。
そんな弱点があり反省していることをスタッフに伝えるのも、今日ありそうな決裁を先に拾ってまわることも「うまく付き合う」方法だと先輩方に教えて頂き、あれこれやっています。
私の場合、定時内にどれだけのパフォーマンスをあげるか、にこだわりが強く、日中にものすごい集中ゾーンがやってきます。そのこと自体、プレイヤーとしては良いことであるが、スタッフをまとめるマネージャーとしては、迷惑かけない時間に自分の仕事はやろう、となるわけです。すると、残業が増え、疲れ果て、監督職を目指す若手が減る…という悪循環出てきてしまう。
その全てを上手く付き合ってこそ、魅力的な監督職だと思い、日々葛藤するわけですが、それを乗り越えられるのは、組織内外のヨコのつながりです。忘年会のたび、そのことに感謝しています。

論理的な思考は必要

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事務ミスが多いスタッフ、締め切りを忘れてしまうスタッフ、仕事を1人で勝手に抱え込んでしまうスタッフ…論理的に考えていないのかもしれません。

あるスタッフから「先生は■だと言っています、近くにいた学生も■だと言っています。だから■です」と報告がありました。本人に「全体は何か?部分は何か?全体と部分の関係は何か?」聞いてみると、どうやら、そんなことを考えたことがないようでした。
我々の業界では「根拠を確認せよ」と言いますが、論理的な思考がベースになければ、根拠を確認しても、何の改善につながらないようです。
論理的な思考は、いろいろな方法で鍛えることができます。私自身は、先輩方とご一緒させて頂いた職場や居酒屋で、実践的な思考力を鍛えて頂き、その後、社会人大学院生、今は監督職の立場で、いろんな方に鍛えて頂いています。冷静な分析がベースにある熱さ、憧れの先輩方でした。
論理的な思考は、上司と部下が、ともに磨き合うもの。その第一歩は、お互いが向き合うこと。

仕事を楽しむことを放棄したスタッフ

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アンケートの集計をして、会議の資料を作る…ここまでは、だいたいやってくれます。分析してあればよい方で、結局どうしたいのか書けないスタッフが、我が業界には多いと感じています。

「決めることは自分の仕事ではない」の「決めること」の意味を勘違いしているのだと思います。自分の考えを何も出さず丸投げすることと、担当者としての考えを、客観的な事項と整理して説明することは「決めてはいない」ですが、仕事の質は、全く違います。いわゆる「どうしたらいいですか」しか言えないスタッフは、この理解がないのだと思います。
そんなスタッフの思考のコリをほぐすことは容易ではないですが、白紙で相談にきた際に「一番楽しいところ、取っちゃうけどいいの?」と投げかけ、それを楽しめるスタッフに何故ならなければならないのが、考えてもらうようにしています。仕事のクオリティが高まり、組織全体が強くなるのだ、と。その先は、個人のキャラクターによってアプローチは異なりますが、白紙丸投げスタッフの撲滅は、諦めずに取り組みたいと思っています。
どんな定型業務であれ、担当者の「どうしたい」「どうすれば利用者のためになるか」考えてやらなければ、作業に過ぎませんし、ミスも起こりやすい。考えることは、結果的に残業時間が減って、仕事を楽しめるようになることを、せめて一緒に働いたスタッフには伝えていきたいと思います。