個の力・組織の力を活かす

どうすれば自分の職場で実践できるのか、その実践から積み上げられた知識や経験をどのように後任へ継承できるのか

半年待てる職場づくり

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ある課題の解決に、委員長から具体的な提案があり、担当スタッフはアレコレ考えていました。

考えてくるアイデアは、いつも穴があり、いよいよ手詰まりな雰囲気。私から「そもそも委員長の提案って、課題の解決に有効かな?」と振ってみたのは、3か月経過したタイミングでした。
それから3か月、担当スタッフは課題の本質を考え続け、委員長の提案とは異なる解決策を練り上げることができ、委員会でめでたく承認となりました。
スタッフに聞けば「仕事とは発注された通りに仕上げることだ」と、この案件を仕上げるまでは思っていたそうです。そのこと自体は間違っていないのですが「発注の意図をどのように汲み取り、想像以上に仕上げるか」が職員の腕の見せ所であるかを、この案件に半年向き合うことで、自分から気づいてくれました。作業と仕事の違いが自力でわかってきたのだと思います。
ちなみに、このスタッフは若手ではありません。研修に自ら参加するタイプでもありません。ですが、家族の時間と仕事のバランスを大切にしている素敵な社会人です。仕事のかける時間ではなくやり方を変えれば、きっと時間内にもっと活躍できる人です。現場の生産性(あまり好きな言葉ではないですが)を高めるためには、一人ひとりに合わせた向き合い方が必要です。
スケジュールに余裕がある&都合のよい仕事は、簡単にやってくるわけではありません。しかし、我々仕事を振る側は、出来るだけ先読みし、チーム全体で仕事を平準化して、仕事で能力開発できる環境を職場で実現する必要があります。
今年も「スタッフの成長を半年待てる」職場づくりを実践していきたいと思います。

クセを理解して、うまく付き合う

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私の悪いクセは、集中している時に、いつでも良さそうな決裁がやってきたときの、阿修羅(←同僚談)のような表情をしてしまうこと(._.)…

上司とは「いつでも話しかけやすい雰囲気を醸し出すべし」なわけですが、私の場合、アイデアが湧き出し形にしている時間を中断されると阿修羅になる、という、悪いクセが出てしまう。
私にとっては「どうでもよいタイミング」かもしれないが、彼にとっては「このタイミング」なのかも知れない…むしろ、決裁以外に話を聞いた方がいいかも知れない…そんな振り返りをして、阿修羅対応?した後は、こちらから声かけする、など反省しております。
そんな弱点があり反省していることをスタッフに伝えるのも、今日ありそうな決裁を先に拾ってまわることも「うまく付き合う」方法だと先輩方に教えて頂き、あれこれやっています。
私の場合、定時内にどれだけのパフォーマンスをあげるか、にこだわりが強く、日中にものすごい集中ゾーンがやってきます。そのこと自体、プレイヤーとしては良いことであるが、スタッフをまとめるマネージャーとしては、迷惑かけない時間に自分の仕事はやろう、となるわけです。すると、残業が増え、疲れ果て、監督職を目指す若手が減る…という悪循環出てきてしまう。
その全てを上手く付き合ってこそ、魅力的な監督職だと思い、日々葛藤するわけですが、それを乗り越えられるのは、組織内外のヨコのつながりです。忘年会のたび、そのことに感謝しています。

論理的な思考は必要

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事務ミスが多いスタッフ、締め切りを忘れてしまうスタッフ、仕事を1人で勝手に抱え込んでしまうスタッフ…論理的に考えていないのかもしれません。

あるスタッフから「先生は■だと言っています、近くにいた学生も■だと言っています。だから■です」と報告がありました。本人に「全体は何か?部分は何か?全体と部分の関係は何か?」聞いてみると、どうやら、そんなことを考えたことがないようでした。
我々の業界では「根拠を確認せよ」と言いますが、論理的な思考がベースになければ、根拠を確認しても、何の改善につながらないようです。
論理的な思考は、いろいろな方法で鍛えることができます。私自身は、先輩方とご一緒させて頂いた職場や居酒屋で、実践的な思考力を鍛えて頂き、その後、社会人大学院生、今は監督職の立場で、いろんな方に鍛えて頂いています。冷静な分析がベースにある熱さ、憧れの先輩方でした。
論理的な思考は、上司と部下が、ともに磨き合うもの。その第一歩は、お互いが向き合うこと。

仕事を楽しむことを放棄したスタッフ

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アンケートの集計をして、会議の資料を作る…ここまでは、だいたいやってくれます。分析してあればよい方で、結局どうしたいのか書けないスタッフが、我が業界には多いと感じています。

「決めることは自分の仕事ではない」の「決めること」の意味を勘違いしているのだと思います。自分の考えを何も出さず丸投げすることと、担当者としての考えを、客観的な事項と整理して説明することは「決めてはいない」ですが、仕事の質は、全く違います。いわゆる「どうしたらいいですか」しか言えないスタッフは、この理解がないのだと思います。
そんなスタッフの思考のコリをほぐすことは容易ではないですが、白紙で相談にきた際に「一番楽しいところ、取っちゃうけどいいの?」と投げかけ、それを楽しめるスタッフに何故ならなければならないのが、考えてもらうようにしています。仕事のクオリティが高まり、組織全体が強くなるのだ、と。その先は、個人のキャラクターによってアプローチは異なりますが、白紙丸投げスタッフの撲滅は、諦めずに取り組みたいと思っています。
どんな定型業務であれ、担当者の「どうしたい」「どうすれば利用者のためになるか」考えてやらなければ、作業に過ぎませんし、ミスも起こりやすい。考えることは、結果的に残業時間が減って、仕事を楽しめるようになることを、せめて一緒に働いたスタッフには伝えていきたいと思います。

それでも〆切が守れない

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〆切をわざと早めに設定すべきなのか、〆切のかなり前から進捗状況を確認すべきか…1度や2度ならともかく、繰り返してしまう相手に悩まされることは、誰にでもある経験の一つだと思います。

一回目の失敗の時の「指導」が影響するのか…〆切ネタではないですが、私は社会人になって間も無く大遅刻を一回したことがあり、生涯忘れることのない「地獄」を味わいましたので、時間には厳しく考えられるようになりました。とはいえ「きちんと指導」すれば変わるか、と言えば、効果は人によると思います。
この〆切のダメな職員、実はベースとなる仕事のやり方がダメで、その成果?の一つが、「〆切守れない」なのだと思います。つまり、〆切以前に指導すべきことがあるのだろうと。電子フォルダの管理方法が意味不明、なんてことはありませんか?
失敗を責めるのではなく、失敗の背景を一緒に丁寧に考え、仕事を通じて、ダメフォームを改善する。私自身、フォームの改善をして頂いたおかげで、今があります。
だから、明日も気長に付き合おうと思います、その職員がいつか指導者になる日まで。これからも、職場における人材育成好循環の起点でありたいと思います。

 

 

そこで、まず一番を目指せ

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「配属された職場の守備範囲の業務で、まず一番になれ」…民間から転職し、初めの上司からの、今でも大切にしているアドバイスです。
システム入力でもよい、文書事務でもよい。周りから「こいつには勝てない」と言われるくらい、与えられた仕事を熟達し、周りをサポートできるくらいに成長してから、自分のやりたい事を話してみろ、という上司でした。このおかげで、転職組にありがちな「組織文化全否定」にはならずに済んだように思います。組織から信頼を得る秘訣のようにも感じています。
「組織内でまず一番」を達成するためには、経験者の実践的知識をいかに盗み、自分のモノにするか。ただ同じ仕事をダラダラやっている職員から実践的知識を引き出すことは難しく、わが業界において人材育成を困難にしている原因の一つのようです。そのような環境下で「まず一番」を目指すことが、転職組の私を本気にさせてくれました。そのおかげで、今があると思います。
わが業界は・わが組織は、たしかに困難だらけ。この環境下で「まず一番」を目指すスタッフを育てることで、層の厚い職場を目指したいと思います。

 

 

 

堂々と実務家でありたい

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今月はいくつかの研修会等で、自分の考えをお話しさせて頂く機会を得ました。いつも同じスタンスなのですが…決して特別な考えを披露する訳でもなく、どこでも・誰でもやっていそうな「地味なこと」を軸に、提案しています。
例えば、他人が来訪したら無視しないで挨拶のできる職場、人にファイルを見られても困らない職場、担当がいなくても初期対応は誰でもできる職場…実は、わが業界の少なくとも半数がそんな状態であると思います。
(民間での人材育成部門経験を踏まえて…)これがわが業界特有だとは思っていません。どの業界にだって、このような残念職場は沢山あります。他業界と決定的に違うのは、この残念職場の改善があまり話題にならない、ということです。その意味で、地味な取り組みを堂々と人前で話す姿は新鮮なのかもしれません。
目立つ取り組みができるか否かは「配属された職場が何処か」という要素は否定できず、個人の意欲や能力だけで語られることに、少し違和感があります。どの職場にだって、重要なタスクはあり、その改善は、誰にでもできる訳ではなく、それこそ個人の意欲や能力に依存します。やったことの「目立ち具合」ではなく、真の困難度で評価してあげることが大切だと思っています。挨拶のできない職場を改善することは、人前で発表することよりも難しい…現場で苦しんでいる人ならば、共感して頂けると思います。
「私は、堂々と実務家でありたい」というメッセージを、これからも、現場で頑張っている仲間に発信し続けたいと思います。