個の力・組織の力を活かす

どうすれば自分の職場で実践できるのか、その実践から積み上げられた知識や経験をどのように後任へ継承できるのか

論理的な思考は必要

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事務ミスが多いスタッフ、締め切りを忘れてしまうスタッフ、仕事を1人で勝手に抱え込んでしまうスタッフ…論理的に考えていないのかもしれません。

あるスタッフから「先生は■だと言っています、近くにいた学生も■だと言っています。だから■です」と報告がありました。本人に「全体は何か?部分は何か?全体と部分の関係は何か?」聞いてみると、どうやら、そんなことを考えたことがないようでした。
我々の業界では「根拠を確認せよ」と言いますが、論理的な思考がベースになければ、根拠を確認しても、何の改善につながらないようです。
論理的な思考は、いろいろな方法で鍛えることができます。私自身は、先輩方とご一緒させて頂いた職場や居酒屋で、実践的な思考力を鍛えて頂き、その後、社会人大学院生、今は監督職の立場で、いろんな方に鍛えて頂いています。冷静な分析がベースにある熱さ、憧れの先輩方でした。
論理的な思考は、上司と部下が、ともに磨き合うもの。その第一歩は、お互いが向き合うこと。

仕事を楽しむことを放棄したスタッフ

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アンケートの集計をして、会議の資料を作る…ここまでは、だいたいやってくれます。分析してあればよい方で、結局どうしたいのか書けないスタッフが、我が業界には多いと感じています。

「決めることは自分の仕事ではない」の「決めること」の意味を勘違いしているのだと思います。自分の考えを何も出さず丸投げすることと、担当者としての考えを、客観的な事項と整理して説明することは「決めてはいない」ですが、仕事の質は、全く違います。いわゆる「どうしたらいいですか」しか言えないスタッフは、この理解がないのだと思います。
そんなスタッフの思考のコリをほぐすことは容易ではないですが、白紙で相談にきた際に「一番楽しいところ、取っちゃうけどいいの?」と投げかけ、それを楽しめるスタッフに何故ならなければならないのが、考えてもらうようにしています。仕事のクオリティが高まり、組織全体が強くなるのだ、と。その先は、個人のキャラクターによってアプローチは異なりますが、白紙丸投げスタッフの撲滅は、諦めずに取り組みたいと思っています。
どんな定型業務であれ、担当者の「どうしたい」「どうすれば利用者のためになるか」考えてやらなければ、作業に過ぎませんし、ミスも起こりやすい。考えることは、結果的に残業時間が減って、仕事を楽しめるようになることを、せめて一緒に働いたスタッフには伝えていきたいと思います。

それでも〆切が守れない

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〆切をわざと早めに設定すべきなのか、〆切のかなり前から進捗状況を確認すべきか…1度や2度ならともかく、繰り返してしまう相手に悩まされることは、誰にでもある経験の一つだと思います。

一回目の失敗の時の「指導」が影響するのか…〆切ネタではないですが、私は社会人になって間も無く大遅刻を一回したことがあり、生涯忘れることのない「地獄」を味わいましたので、時間には厳しく考えられるようになりました。とはいえ「きちんと指導」すれば変わるか、と言えば、効果は人によると思います。
この〆切のダメな職員、実はベースとなる仕事のやり方がダメで、その成果?の一つが、「〆切守れない」なのだと思います。つまり、〆切以前に指導すべきことがあるのだろうと。電子フォルダの管理方法が意味不明、なんてことはありませんか?
失敗を責めるのではなく、失敗の背景を一緒に丁寧に考え、仕事を通じて、ダメフォームを改善する。私自身、フォームの改善をして頂いたおかげで、今があります。
だから、明日も気長に付き合おうと思います、その職員がいつか指導者になる日まで。これからも、職場における人材育成好循環の起点でありたいと思います。

 

 

そこで、まず一番を目指せ

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「配属された職場の守備範囲の業務で、まず一番になれ」…民間から転職し、初めの上司からの、今でも大切にしているアドバイスです。
システム入力でもよい、文書事務でもよい。周りから「こいつには勝てない」と言われるくらい、与えられた仕事を熟達し、周りをサポートできるくらいに成長してから、自分のやりたい事を話してみろ、という上司でした。このおかげで、転職組にありがちな「組織文化全否定」にはならずに済んだように思います。組織から信頼を得る秘訣のようにも感じています。
「組織内でまず一番」を達成するためには、経験者の実践的知識をいかに盗み、自分のモノにするか。ただ同じ仕事をダラダラやっている職員から実践的知識を引き出すことは難しく、わが業界において人材育成を困難にしている原因の一つのようです。そのような環境下で「まず一番」を目指すことが、転職組の私を本気にさせてくれました。そのおかげで、今があると思います。
わが業界は・わが組織は、たしかに困難だらけ。この環境下で「まず一番」を目指すスタッフを育てることで、層の厚い職場を目指したいと思います。

 

 

 

堂々と実務家でありたい

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今月はいくつかの研修会等で、自分の考えをお話しさせて頂く機会を得ました。いつも同じスタンスなのですが…決して特別な考えを披露する訳でもなく、どこでも・誰でもやっていそうな「地味なこと」を軸に、提案しています。
例えば、他人が来訪したら無視しないで挨拶のできる職場、人にファイルを見られても困らない職場、担当がいなくても初期対応は誰でもできる職場…実は、わが業界の少なくとも半数がそんな状態であると思います。
(民間での人材育成部門経験を踏まえて…)これがわが業界特有だとは思っていません。どの業界にだって、このような残念職場は沢山あります。他業界と決定的に違うのは、この残念職場の改善があまり話題にならない、ということです。その意味で、地味な取り組みを堂々と人前で話す姿は新鮮なのかもしれません。
目立つ取り組みができるか否かは「配属された職場が何処か」という要素は否定できず、個人の意欲や能力だけで語られることに、少し違和感があります。どの職場にだって、重要なタスクはあり、その改善は、誰にでもできる訳ではなく、それこそ個人の意欲や能力に依存します。やったことの「目立ち具合」ではなく、真の困難度で評価してあげることが大切だと思っています。挨拶のできない職場を改善することは、人前で発表することよりも難しい…現場で苦しんでいる人ならば、共感して頂けると思います。
「私は、堂々と実務家でありたい」というメッセージを、これからも、現場で頑張っている仲間に発信し続けたいと思います。

 

 

企画力と言う前に

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こじれた案件を漠然と相談に来るスタッフ、文句が先行するスタッフ…「カタチにすることが苦手」という共通点があるように感じています。

こじれた案件については、時系列に・関係者と・主観と客観の区別をつけて、メモにしてから相談に来なさい。緊急なら、それが頭に思い描けるように説明しなさい。
漠然と不満があるのなら、コトの経緯と、関係者と、改善案くらいは、メモにして振りかえってみたらどうだろう。
普段、前年度の資料をいじる程度の方法でしか仕事をしない(させないと)と、白紙から自分の考えを表現できるようなスタッフは成長しません。上司がこのタイプだと、スタッフはもっと厄介になります。
私は、カンタンなことでも、カタチにするように仕事を振っています。異動したてのスタッフは、これが苦手なタイプが多いので、半分書いてから任せる、など、離乳食のような段階でステップアップして、慣れてもらいます。表の作り方など、スタッフそれぞれの個性が出てくると、よしよし、と。
担当業務をカタチにすることは、いわゆる妄想をカタチにすることよりも、はるかに難易度は高く、ストレスがかかります。職場で信用されていなければ、カタチにすることが難しい案件はたくさんあります。
現場で本当に必要な企画力が、この程度の仕事のやり方で身につくとは思いませんが、せめて、担当業務で、この程度が出来てから、企画力に悩んで欲しい、と。
やはり、仕事の振り方が能力開発には重要で、これを避けていては、自己満足だけの能力開発になりがちだと思っています。私も自己満足だけの能力開発にならないよう、気をつけようと思います。

時間を色付けする

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わが組織では毎朝朝礼をやっています。「やった方がいいのはわかっているけれど、何もない日はどうすればよいかわからない」という質問をたまにいただきます。いくつかのアイデアの中で、一日の使い方をあれこれ皆でコメントしあうことは、効果が高いと実感しています。

例えば、会議の時間が休み時間に重なっていた場合、学生や先生からのオーダーを誰が代わりに受けるのか…まさか「担当者がいないから適当な時間にまた来てね、はやらないよね」と。「午後は伝票確認」とコメントした場合、それは今日の午後に、一人で半日かけてすることなのか?誰がと一緒にやった方がミスは減るのではないか?
一人一人の仕事のやり方を改善することが主目的ですが、それをダイレクトにやると嫌な感情を抱くスタッフもいますから、皆でフォローしあうため、という、もう一つの目的を全面に出して、1日のスケジュールをコメントしあうと、嫌な思いもせず、自然に協力し合い、やがて、仕事のやり方が改善する。
時間はかかりますが、仕事を主体的に・楽しめるスタッフの育成には、(私含め)仕事のやり方そのものの改善は不可欠ですので、地道にやろうと思います。