個の力・組織の力を活かす

どうすれば自分の職場で実践できるのか、その実践から積み上げられた知識や経験をどのように後任へ継承できるのか

理想の上司は目標なのか?

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能力開発の目標を「いい上司になるため」としていた場合、「自分にとっての、いい上司」を目指すと、うまくいかないことがあるようです。

私は「管理職である今の自分」が「自分の上司」ではイヤです。
私の理想の上司は、「圧倒的に仕事ができる(イメージとしては、背中で学べよ)」タイプです。どうやったら背中から技を盗めるか、主体的に自分で考え続けたことで、能力開発してきたと思っています。
しかし、このタイプの上司に自分がなることは無理です。(自分の)理想の上司とは、自分より圧倒的に仕事ができるタイプですから、自分が到達できる程度の上司ではないのです。それを、早い時期から割り切っていたため、自分の能力や生活サイクルに合ったマネジメントの方法をじっくり探し、ストレスなく身につけることができました。今も、いろいろな上司・同僚・後輩…からいろいろ学んで、自分流のマネジメントを日々試行錯誤しながら実践できています。
もし、自分の理想、だけを追い求めたとすると、ゴールに到達できないばかりか、他人のアドバイスを聞けない「困った中堅」になってしまうかもしれません。
自分の理想、ではなく、他人にとっての理想の上司でありたい。と、するならば、同質の仲間で固まるのではなく、できるだけいろいろな人と関わって、自分以外の視点に気づいてほしい。
「理想の上司になるためには」という質問には、そんなアドバイスをしています。

チームプレーが身につくまでの成長痛

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監督職から管理職に立場がかわり、任される組織の規模も大きくなりました。毎日失敗と学びの連続です。それらも、あとに振り返れば、単なる経験から「大学事務室の組織運営の知恵」に整理できると考え、書き続けようと思います。

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異動し仕事がかわり、組織づくりもゼロからスタート。スタッフの様子をみると、隣人と少しは話はしてそうだが、つかみどころのない、なんとも言えない雰囲気。例えば、フロアで聞こえる声はいつも一緒。チームプレーよりは個人プレーで、仕事をこなしてきたのかもしれない。

私がやったことは4つ。
1つは、「おはよう・お先に失礼します・○○へ行ってきます・戻りました」の大切さを数度説明。情報共有が苦手な部署は、挨拶があまりない。仕事で誰かに迷惑かけないようにするためには、情報共有が大切。ならば、挨拶からはじめよう。
2つ目は、倫理観の醸成。出張は事前申請が当たり前・打ち合わせはダラダラ集まらない、など。当たり前を堂々と注意。
3つ目は、あまり指示せず、任せきる。当然、失敗だらけ。
そのあとに…最後は、スタッフのこれから希望するキャリアを個別にじっくり聴く時間を設定し、仕事でそれをどのように実現するか一緒に考える。

それを一か月やってみて。みな口々に「いままでより大変」と言う。けれど、フロア全体がガヤガヤしていて、いろんな声が笑い声と一緒に聞こえる。座っていれば、必要な情報は入るようになった。誰が何をやっているか、今はよくわかる。

チームプレーは、一人でやるより面倒。だけれども、その面倒が、明るく楽しくこなせるようになれば、個のチカラを組織で活かせるようになる。いまはその成長痛。どうやら、その痛みを楽しそうに味わっているようなので、次の一か月が楽しみです。

 

マイルールは押し付けない

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自分が「うーん」と思う部下や後輩の特徴には、共通点があるようです。例えば、ホウ・レン・ソウのタイミングが合う・合わないは、自分の中にある「仕事のマイルール」が影響しています。

この「仕事のマイルール」を、部下や後輩の全員が理解し、実行してくれたら、こんなに楽な事はない…はずがありません。
上司・先輩である我々にもミスはあり、弱点はあります。それを補うのは、自分とは違うマイルールを持っているスタッフだったりします。自分とは違う視点で動いてくれるからこそ実は助かっていることは、見えにくいだけで職場に溢れているものです。そう考えれば、自分との違いも、楽しめるようになります。
ただ、組織には文化があります。例えば、挨拶する・しない、は、した方がよいはずです。この「ゆるい仕事のルール」が、組織の中で共有できていれば、指導はしやすいです。
この共有には、自分の考えを自由に言える環境が必要です。みんなの前で言うことが苦手なスタッフもいますので、毎朝の朝会だけでなく、一対一の雑談の機会も頻繁に設けるようにしています。全体と個別のコミュニケーションの組み合わせで、ゆるい仕事のルールは、組織の中で醸成されます。
一番よいのは、スタッフが自然に、ゆるい仕事のルール、を作り上げる職場。そのためには、自分の仕事のルールは、あまり押し付けないように、気をつけたいと思います。

事件事故・事務ミス対応の心がけ

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事件事故・事務ミスが起きた時、担当者の心理的な負担をできるだけ軽減させてあげたいと考えて行動しています。

例えば、事故発生源側の対応は担当者、関係部署への報告や調整は別のスタッフを指名。報告書も、二人以上で分筆させるなど。係全員で対応することで、一人で抱え込まない支援体制を構築します。時短のスタッフには、直接事故対応させるのではなく、別のスタッフの本来業務を代行させたりすることで、係全員でやっている雰囲気を醸成します。
これをやるためには、当然普段から、上司と部下の信頼関係、副担当制を機能させて…などなどのチーム作りが必要です。そして、事件でチームはより成長する。日常と非日常の繰り返しで、今だけしか味わえない最高のチームを作り上げる。つまり、危機管理の第一歩は、日常の組織作り。
事件事故は組織作りに有効になり得るわけですが、未然に防ぎたいですし、繰り返してはいけません。
対策の視点は、個人の能力に期待するのではなく、仕組みの改善を重視したいです。再発防止策は、メンバーが異動しても、機能するようにしなければなりません。
そう考えると、事件事故・事務ミスは、成長の絶好のタイミング。どうせ面倒なのだから、よい思い出にしてやろう、という気持ちで、「みんなで」乗り切りたいと思います。

知識や情報を努力しないで得ようとする

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同じ質問でも、気心知れた関係と名刺交換しただけの関係では、出てくる回答の質・量は違うものです。しかし、我が業界は助け合い精神が溢れている?ため、メールを送れば何でも教えてもらえると勘違いしやすく、よりよい情報を得るための努力を怠る方がいます。
だからと言って、質問を受ける人の範囲を限定したり門前払いするつもりはなく、受けた質問や相談には出来る限り回答しています。自分の勉強になりますし、その方の仕事の先にいる学生や先生のお役にも立てるからです。
それでも一つだけお願いしたいのは、質問するなりに、少しは自分で調べたり、考えたりはしてほしい。「わからないのでゼロから教えてくれ」は、大学でお給料もらっている人がやってはいけないと思います。当然、勉強の方法・調べ方の相談には、じっくりお付き合いさせて頂きます。
この、社会人としての当たり前の作法は、着任したスタッフの初期の指導で身につけさせたいです。何も考えないで人に質問を送るスタッフは、何も考えないで担当業務をこなすので事務ミスを起こしやすい。仕事を教える時期に「調べさせる」「考えさせる」を丁寧に反復します。すると「知識や情報を得るとはどれだけの価値があるか」がわかり、そのための努力をスマートにできるようになります。

すぐには解決しない事を客観的に考えさせる

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職場で文句ばかり言うスタッフ…印刷室に紙が散乱しているが、なぜあの係・人は片付けないのか…問題点を言うだけで、自分は何もしません。そのうち、自分の思い通りにならないと、他人を攻撃するようになる。

様々な雇用形態が混在する現場では、このような「SD以前」の問題を抱えることがあります。
悪化してしまった人をどうするか、特効薬はないと思います。ただ、できるだけ「そうならないように」予防する、ことは、いろいろ対策があるようです。

私の対策は、スタッフに「自分の思い通りにいかないこと」「自分の判断基準が絶対ではないこと」を仕事を通じて気づいてもらうようにしています。
まずは、気になることを気軽にチームの中でいいやすい環境を作る。例えば、朝会や定例のチーム会で雑然を広げます。それをチームの課題として表にまとめ可視化し、解決の方法をチームで考えさせる。すると、チームには様々な課題があり、マンパワーは有限で、優先順位やタイミングの重要性に気づく。
また、日常のやりとりで、全体と部分(自分の主張)の関係を明確にして話すように指導することも有効です。

判断基準が偏ると、仕事のミスが増え、成果も期待できません。考えが凝り固まらないように、職場で「考える機会」を提供していくことが必要です。

マイナスをゼロにする仕事の満足感

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計画を立案する、新規事業を担当する、人前でプレゼンする…その裏で、他人がやらかしたどうしようもない事件事故を片付けて、崩壊しかけの組織が放置した仕事を肩代わりし、新規事業を進めるために既存事業をひっそりとたたむ…表に出ることが望まれない、裏方に徹する仕事もあります。

この裏方仕事で満足感を得る…尊敬する大先輩から「4負けて6勝てばよし」というキーワードを教えてもらいました。
折衝相手をコテンパンにするのではなく、相手に負けたと思わせないこと。自分の手柄にはせず、周りにも花を持たせること。自分の定規で勝ち負けを判断するのではなく、組織としての結果にこだわれ、などなど。そんな仕事の先に、利害関係ではなく信頼関係でつながる仲間が増える。それがマイナスをゼロにする仕事でしか味わえない満足感だよ、と。
マイナス仕事は100点が難しい。極論を言えば、60点でも70点でも解決さえすればよい。成果で満足感を得ることが難しいからこそ、プロセスから得る満足感を大切にする。
仕事を選べない立場だからこそ、それぞれの職場で求められた役割で、そこでしか味わえない満足感を大切にする職員になりたいと思います。